ロシアのお友達と瞬ちゃんの秋の遠足

〜遭難〜





目指す彫刻は、とうとう残り1個になりました。
ロシアのお友達の努力と根性で、これまでかなり効率的に彫刻を探し当ててきたので日はまだ高く、帰る時間までずいぶん余裕がありました。


「氷河、大丈夫?」

最後の奇跡に向かって5歩目のところで転んでしまったロシアのお友達は、まだ転んだままでした。
ロシアのお友達は、もう体力の限界まで来ていたのです。
ロシアのお友達には休息が必要なのだということが、瞬ちゃんにはわかっていました。

「まだ時間はたくさんあるよね? ちょっと寄り道してもいい?」
「うん?」
「僕ね、マーマに綺麗なお花をおみやげに持って帰るって約束したの」
「うん」
「僕、あっちに見えるお花畑でお花摘んでくるから、氷河はここで休んでて」
「俺も行くよ」
「すぐ戻ってくるから、休んでていいよ」
「大丈夫だ。それに、マーマの好みは俺が良く知ってる」

そう言われてしまっては、瞬ちゃんには、ロシアのお友達に休息を強要する他のいい口実も思いつきません。
「……じゃあ一緒に行こ」
「うん」

それでも、お花摘みは彫刻探しほど体力を消耗することもないだろうと、無理に自分に言いきかせて、瞬ちゃんはロシアのお友達と一緒にお花畑に向かったのです。






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