もしも いつの日にか あなたが死んだとて
   私は嘆かない
   共に 永遠の国へ行き
   空の星の上で
   ただふたりだけで 愛し合い続けるの





「星、綺麗だね」

砂漠に響く愛の歌。

「僕たちには僕たちの思い描く幸せがあるように、1700年も前の砂漠の国には、その時代とその場所に生きている人なりの幸せがあったんだろうね」

瞬は、砂漠の星を見上げ、夜空を振り仰いだままで告げた。

「――戦うことが幸福な人もいるんだね……」
「それが、彼女の愛の証だったんだろう」
「うん……」



星々の下、星の粒でできているような白い砂漠の片隅で、氷河が瞬にキスをする。

パルミラの栄華から1700年。
今に生きているふたりのキスは、羽のように軽やかだった。






Fin.







【back】