最初は――それはただの慰めだった。
闘いが辛いと訴える僕を抱きしめて、氷河は、何度も何度も繰り返し僕に囁いてくれた。
おまえは悪くない。
おまえは正しいことのために闘っている。
おまえが闘うことで、多くの人たちが幸せを守れているんだ。
おまえは悪くない。
悪いのは、おまえに闘いを挑んでくる奴等の方なんだ――。
氷河にそう言ってもらえると、僕は、少しだけ心が軽くなった。
ただ一人でもそう思ってくれている人が――氷河が――いるってことで、安らかな気持ちになることができたんだ。
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