闘いが途絶えた頃、僕は氷河に好きだと告げられた。

僕は――僕も氷河を好きだった。
兄さんが側にいてくれない分、いつも側にいてくれて、僕を慰め力付けてくれた氷河。
好きだったんだ、本当に。

でも、それは罪だと思ったから。
普通の人間が同性に対して抱く感情じゃないと思ったから、氷河に抱きしめてもらいながら、僕はいつも自分の罪に怯えていた。


僕が氷河を好きなこと。
僕が氷河に抱きしめてもらうこと。
僕が氷河を抱きしめること。

――僕はいつも恐がっていた。


これはいけないこと。
許されないこと。
普通じゃないこと。
 
氷河の腕の中で、僕はいつも泣いていた。


罪を忘れるために、氷河に抱きしめてもらって、その時だけは氷河に夢中になって、何もかも忘れていられる。

そして朝にはまた、僕は罪悪感に怯えながら、隣りに眠っている氷河の胸に涙を零すんだ。






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