僕が、氷河の悲しい暗示と、悪夢のような呪いから解き放たれた、その夜。

「瞬」

氷河が、いつものように僕の名を呼んだ。
昨日まで冷酷な青としか映らなかったその瞳は、今見ると、ひどく辛そうで、哀しそうで、そして暖かかった。



氷河がその先を言う前に、僕は氷河に告げた。

「氷河、僕は氷河が好きだよ」

僕は、氷河を好きな自分に誇りを持っている。
罪なんか感じていない。

それは罪でも穢れでもない。
もしそうだったとしても、僕は、罪への罰を甘んじてこの身に受ける。




「僕は氷河が好きだよ」

瞳を見開いた氷河に、僕はもう一度その言葉を繰り返した。






Fin.







【back】