闘いも愛もなかったら、人は死ぬ。
そのどちらかが、人の生きる糧。

時折、きらめきながら星が降ってくるこの花の星には、そのどちらも存在しない。
あるのはただ、無垢な美しさだけ。


僕はもうすぐこの星で死ぬだろう。


そのために、僕は、この星を見つけた。

闘いに歓喜する自分、醜い自分を破壊し、消し去るために。


女神からもらったこの船を壊して、この星を僕の牢獄にする。

この美しい牢獄で、僕は僕の命を終える。




氷河。

でも、本当に、闘いを知る前は、僕は闘いが嫌いだったんだよ。
いつも夜空を見上げては、あの星の河のほとりで、綺麗な星の砂を拾いながら生きていたいと願っていたんだ。


「可愛い夢だな」
あの時、既に闘いの中に身を投じていた氷河は、そう言って僕を抱きしめた。

あの頃の僕は純粋に、氷河に愛されることを歓んでいられた。
それは互いを互いに与え合うことで、罰でも罪でもなかったから。
氷河は僕を抱きしめて、僕も氷河を抱きしめてあげられたから。



あの夢はもう叶わない。
僕は無垢な子供ではなくなった。


自らの罪に酔う罪人の中の罪人には、救いがあってはいけないんだ。
罰すら求めてはいけない。

闘いの相手は自分だけ。
孤独だけ。

それが、闘いに歓喜する人間にふさわしい罰だもの。






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