氷河が大使館経由でパスポートを入手し、正規ルートで日本に帰ったのは、それから3日後のことだった。

雪も氷も――冬らしいものが何もない日本で、最初に氷河を迎えてくれたのは、1年を通して真夏の太陽のように屈託のない星矢の声だった。
「いやー、一輝がさー、瞬を連れ戻しに行くってきかなくってさー」

「ああ、帰ってきたのか。今度からはもっとうまくやるんだな」
紫龍の声は、むしろ同情的だった。

最後に、その二人の後ろから、ぬっと瞬の兄が現れる。
「ふん、不法出国と入国の前科者のご帰国か」

彼は、不機嫌そうに、
「瞬が呼んでる」
という一言だけを残して、後も見ずにその場を立ち去った。






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