が、ともかく、星矢は今はわずか5歳の子供である。

「今日の朝ご飯、なーに?」
「フレンチトーストにしよっか。シロップとホイップクリームたくさんかけて」
「わーい!」

星矢が10年後にどんな少年になっているのかは、瞬には想像もできなかったが、今の星矢は、飾りのないトーストより、クリーム付きのトーストを喜ぶ無邪気な子供だった。

彼等の友人だった“星矢”とは血の繋がりがあるわけでもないのに、星矢は日毎に“星矢”に似てくる――と、瞬は思っていた。

わんぱく盛りの子供というのは、みな似ているものなのだろうか。
“星矢”は、いくつになっても、いたずらな目をした5、6歳の子供の目をした大人だった。


星矢は、“星矢”が、自分の命を懸けて助けた孤児だった。
その時、星矢は2歳前後だったろう。

おそらく、教育・躾の面で、親にあまり手をかけてもらえなかったのだろう、やっと片言を喋り始めたばかりで、自分の名さえ知らずにいた。
歩く時の足取りも、2歳に達した子供にしては頼りなく、転んでばかりいた。

その星矢が、もう5歳――おそらく――になるのだ。


今は、どこの家庭でも、そんな身寄りのない子供を預かっている。






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