「おはようございます、氷河様」

朝起きると、枕元に瞬が座っていた。
今日は、薄紅色の小袖を着ている。

氷河は、この朝の風景は、昨夜一晩中見続けていた妖しい夢の続きだと錯覚しそうになってしまったのである。

「朝食の準備ができております。お着替えをお手伝いいたします」
「い……いいっ!」
「でも」
「いいと言ったら、いいんだっ!」

瞬が手を掛けた氷河の布団の中には、瞬に見られては困るものがあった。

氷河のきっぱりした拒絶に合った瞬が、大いに落胆した様子で、許婚の寝室を出ていく。
傷付けるつもりはないのだが、氷河には、他にどうすることもできなかった。






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