そんなこんなで、日本での――瞬との――数日が過ぎていった。 その間、瞬と氷河は毎日のように、ふたりで外出していた。 未婚の女子の一人きりでの外出は危険だという馬鹿げた理由で、それまで瞬は滅多に外出を許してもらえずにいたらしい。 氷河とのデートを、瞬は喜び、楽しんでいるようだった。 そんなふうに、氷河と瞬が親密さを増しつつあったある日、氷河と瞬は、城戸家の当主から、とんでもない事実を告げられてしまったのである。 「嘘……? 癌で余命を告知されたというお話が嘘だったと言うんですか?」 本来ならば喜んでいいはずの父の言葉に、瞬が真っ青になる。 「こうでもしなければ、おまえは恥ずかしがって、いつまでも氷河くんに会うことを拒み続けていただろうが。奥手の娘の行く末を案じる親の気も知らずに」 「そんな……」 「いいじゃないか。氷河くんもおまえを気に入ってくれたようだし、おまえもまんざらではないんだろう?」 「そ…それとこれとは……だって、僕は――」 『僕』と言いかけた瞬の言葉を打ち消すために、氷河は咄嗟に父と息子の間に割って入った。 「瞬を俺にくださるというお気持ちさえ変わっていないのであれば、俺には、それは大変喜ばしいニュースです」 「そうだろう、そうだろう」 父の気持ちを案じる息子の気も知らず、瞬の父親は、自分がまとめた若い恋人同士に、得意顔で幾度も頷いてみせた。 |