「駄目なのかな。確かに僕は社交的じゃないし、積極的でもないし、主体性があるわけでもないし……」
「ここで、俺に自分を売り込んでみせるくらいでないと、コネのない学生が職に就くのは難しいかもしれないな」
「売り込む……って、『僕、頑張ります』とか言うんですか?」

酒は飲めるのかと尋ねると、たっぷり30秒悩んでから、瞬はこくりと頷いた。


「もうすぐ奨学金は切れるし、僕、働かなきゃならないのに……」

気落ちした身体に酒の回りが早かったと言うより、もともと飲み慣れていないだけだったのだろう。
小学生でも酔うことはないだろうたった一杯のカルアミルクで、瞬は、酔い潰れてしまっていた。






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