つまり、瞬は一輝の弟で、紫龍の恩師の教え子で、星矢の親友だった──のだ。

ご都合主義のマンガでも、こんな馬鹿げた展開は滅多にあるまい。



瞬は天涯孤独な少年というわけではなかった。
ちゃんと生活費を振り込んでくれる兄がいた。

ただ、その額が尋常でなく多額で、しかも、瞬の兄は、瞬に、それが何をして得た金なのかの説明をしようとしなかったのである。
瞬は、それ故、怖くてその生活費に手をつけることができなかったらしい。

兄の大学中退を、自分を進学させるための苦渋の選択だと思ってもいた瞬は、もしそれが出どころに問題のない金なのなら、兄が帰ってきた時の復学の際の学費に充てるつもりでいたということだった。






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