瞬は、細く幼いままの手で、自分とは太さも肌触りも違う氷河の腕の線をなぞった。
「僕が吸血鬼だったとしても……僕は、氷河を不老不死にしたりなんかしないよ。氷河は毎日どんどん素敵になってくもの」

「こっちの方も上手くなったし?」
「やだ」
氷河の指先が、再び瞬の身体の中に忍び込んでくる。
恥ずかしそうに、瞬は身をよじった。
それが、逆に氷河を刺激するだけの仕草だということを承知の上で。

期待通りに、氷河は瞬の上に覆いかぶさってきた。

瞬が、腕を──頼りないほどに細く見える自分の腕を──氷河の首に絡める。
「吸血鬼にとって、血を吸う行為は、生と死の間の最高のエクスタシーなんだって」

瞬には、それが必要だった。
そして、氷河はいつも、瞬が望む以上のものを与えてくれる。

他の誰にもこんなことはできないだろうと、瞬はなぜか確信していた。
その確信が、瞬の唇から甘い吐息を吐きださせる。
氷河の手に、唇に触れられるだけで――否、その存在を感じるだけで――瞬は陶然となるのだ。

氷河の身体の熱によって、瞬は再び、最高のエクスタシーの中に投じられた。






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