「あの、僕、それじゃ――」 自分の腕を掴みあげていた氷河の手から力が抜けているのに気付いた瞬が、その手から逃れようとする。 「待て!」 氷河はすぐに、その手にもう一度力を込めた。 なぜそんなことを言ったのか、氷河はわかっていなかった。 わかってはいなかったが、氷河が我に返った時、その言葉は、氷河の口を突いて既に飛び出てしまった後だった。 「俺から頼む。俺のオトモダチになってくれ!」 昨日、自分が口にしたばかりのそれと同じ言葉を聞かされた瞬が、きょとんとした顔になる。 「あの……」 氷河の決死の形相に、瞬は、その申し出を拒むことができなかったのかもしれない。 どこか戸惑い、不安そうな目をして――瞬は、まるで自分自身に怯えているかのように、それでも、氷河に頷いてくれたのだった。 |