無駄だった──と、瞬は言った。
それが、京に来たことを指していたのか、新撰組に入隊したことを指していたのかは、沖田にはからなかった。
訊いてはいけないことのような気がして、瞬に確かめることもできなかった。

いずれにしても、瞬は、隊から抜けることはしなかった。
もっとも、組を抜けることは局中法度で禁じられていて、それは瞬の一存で変えられるものではなかったのだが。

瞬は、いつも氷河を見詰めていた。
その趣味がなくても、いつかはよろめくだろうと噂される中、氷河は一向に瞬になびく様子を見せず、その冷たさと不粋が隊の中で非難の的になり始めた頃、京には、梅の花が咲く季節が巡ってきていた。







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