「具合いが悪いのなら病院に行った方がいいわ」
「あ、いえ……」
心配顔の美穂にそう言われて、瞬は思わず顔を伏せた。

まさかあれから毎夜、同性の“滅多に顔を合わせない友人”に組み敷かれている夢を見るせいで眠れずにいる──などということを、美穂に告げるわけにはいかない。
まして、夢を重ねるごとに、夢の中の氷河に対する恐怖が薄れ、最近では夢の中で氷河に身体を貫かれ喘ぐことさえするようになってしまっている──などという事実は。

瞬は、美穂の心配そうな眼差しから逃げるようにして、自室に駆け戻った。
どうしても懐かしさを感じることのできない、見知らぬ他人の部屋に。






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