氷河は顔の造作だけは非の打ちどころのない男である。
口を開きさえしなければ、利口にも見える。
そんな男がシリアスに恋に悩む姿は、絵的には実に決まっていた。

紫龍は、その日の午後いっぱいを、4方向からの絵になる男の隠し撮り映像に感動的なBGMをつけ、不要な部分を削除するというビデオ編集作業に費やした。
そうして出来上がった完璧な愛の告白映像を、夕食後のデザート代わりに瞬に披露する。

その感動画像を見終えた瞬が、その足で氷河の部屋に向かうほど、もちろん、紫龍の力作は瞬を感動させたのである。






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