シュンが見知らぬ二人の男に組み敷かれている。 男たちは黒いテールスーツを着込んでいて、その姿からヒョウガは、その二人がウィンチェスター校でシュンを争い、シュンをウィンチェスターにいられなくした者たちに違いないと思った。 黒い制服は悪魔の衣のように見え、彼等の手で押さえつけられているシュンの白い裸体は、地獄の大魔王の強大な力に抗う術を持たない無力な天使のように見えた。 世界を司る あの無限の光の中で他の天使たちと共に在れば、シュンはこんな災厄に見舞われることはなかったのに、自らの欲望に苦しむ悪魔に同情の心を持ってしまったせいで、シュンは彼等に陵辱されることになってしまったのだ。 シュンを元の場所に――天上の光の中に――戻さなければならない。 そここそがシュンにふさわしい場所で、シュンはそこにこそいるべき者なのだ。 「やめろ」と声に出したのかどうかを、ヒョウガは覚えていなかった。 まるでシュンの身体を押し潰すようにシュンにのしかかっていた男が、鬱陶しそうにヒョウガの方を振り返る。 ヒョウガは、そして、自分がシュンから引き離そうとしていた悪魔が 自分自身だったことを知った――。 いつもそこで目覚めるのは――そこから先を夢に見ることがないのは――僅かに残っている神への畏怖のせいなのか、あるいはただの臆病なのか。 いずれにしてもヒョウガは、その中途半端な夢に、気が利かない夢だと腹を立てることはできなかった。 無意識研究の書物を紐解き解釈に悩む必要もないほど――あまりに わかりやすすぎて、笑うことしかできない。 自嘲気味に笑ってから、ヒョウガは寝台の上で自らの顔を手で覆った。 |