『ちゅうちゅうたこかいな』 『ロシアのお友達』を読んだ際、保育所に通っていた頃に、『ちゅうちゅうたこかいな』という鬼ごっこをしていたことを思い出し、このリクエストにさせていただきました。 ──とのことでした。 汐見さん、リクエスト、どうもありがとうございました! そういうわけで いただいたお題、“鬼ごっこ・ちゅうちゅうたこかいな”。 ↑ こちらの遊戯は、鬼が「ちゅうちゅうたこかいな」と言ってるうちに 皆が逃げて、鬼が捕まえた子に ちゅうができる――というルールの鬼ごっこだったそうです。 ところが、実は。 私は そういう遊びをしたことがなく、それどころか『ちゅうちゅうたこかいな』なる言葉の存在をすら 存じ上げませんでした。 汐見さんから リクエストのメールをいただいて、 「ちゅうちゅうたこかいな?」 と独り言を言ったのが、おそらく 私が生まれて初めて口にした『ちゅうちゅうたこかいな』。 ネットで調べましたところ、『ちゅうちゅうたこかいな』の『ちゅう』は『重二』が転じたもので、『ちゅうちゅうたこかいな』は『2、4、6、8、10』という数を数える文言とのことでした。 汐見さんに、 「私は、その言葉を 存じ上げませんのです」 と正直に告白しましたところ、 「その言葉が出てくれば、どんな傾向のお話でも構いません」 という お優しい お言葉をいただき、そのお言葉に甘えさせていただいた次第です。 私は、最初は、知らない言葉とはいえ、氷河と瞬(と城戸邸に集められた子供たち)が そういうルールの鬼ごっこをしている話を書けばいいだろうと安直に考えていたのです。 そして、実際に そういう話を書こうとした。 で、ストーリーを練り始めた途端、私は、「自分と瞬が そういう遊びに興じることを、はたして あの氷河がよしとするだろうか?」という疑問に 行く手を阻まれてしまったのです。 氷河が鬼ならいいんですよ。瞬を追いかけて捕まえて、その目的を果たせばいいだけのことですから。 でも、鬼ごっこは、その後も続くゲーム。 鬼が氷河でなかった時は? 瞬が鬼で、氷河以外の子を捕まえた時には? いろいろ考えますと、それは 氷河にとって あまりに危険なゲーム。 安心して興じていられるのは、氷河が鬼だった場合のみ。 このゲーム、鬼が氷河以外の誰であっても、危険すぎる。 考えれば考えるほど 危険すぎるのです。 氷河が鬼の場合は安心 & 安全です。 氷河は、脇目もふらず、瞬ちゃんを捕まえにいくでしょう。 そうして瞬ちゃんが鬼になったら、今度は 自ら進んで瞬ちゃんに捕まりにいけばいい。 その後、再び 鬼になった氷河が瞬ちゃんを捕まえ、またまた鬼になった瞬ちゃんに 氷河が捕まりに行き――かくして始まる二人だけの無限ループ。 それでは 他の子供たちが楽しくありません。 何かの間違いで、氷河が一輝兄さんを捕まえてしまったり、星矢ちゃんを捕まえてしまったり、紫龍を捕まえてしまったら、どうなるのか。 何かの間違いで、瞬ちゃんが一輝兄さんを捕まえてしまったり、星矢ちゃんを捕まえてしまったり、紫龍を捕まえてしまったら、どうなるのか。 何かの間違いで、一輝兄さんが氷河を捕まえてしまったり、星矢ちゃんが氷河を捕まえてしまったり、紫龍が氷河を捕まえてしまったら、どうなるのか。 何かの間違いで、一輝兄さんが瞬ちゃんを捕まえてしまったり、星矢ちゃんが瞬ちゃんを捕まえてしまったり、紫龍が瞬ちゃんを捕まえてしまったら、どうなるのか。 邪武が氷河を捕まえてしまったり、市が氷河を捕まえてしまったり、檄が氷河を捕まえてしまったり、蛮が氷河を捕まえてしまったり、那智が氷河を捕まえてしまったら、どうなるのか。 邪武が瞬ちゃんを捕まえてしまったり、市が瞬ちゃんを捕まえてしまったり、檄が瞬ちゃんを捕まえてしまったり、蛮が瞬ちゃんを捕まえてしまったり、那智が瞬ちゃんを捕まえてしまったら、どうなるのか。 あらゆるパターンを考え、それらを すべて羅列するのもありかもしれないと思ったのですが、市に捕まる一輝兄さんとか、檄に捕まる星矢ちゃんとか、色々考え始めた自分が、徐々に正気の沙汰でいるとは思えなくなってきて……。 最終的に、『氷河が そんなゲームに興じることは考えられない』という結論に至り、結果、こんな話になってしまった次第です。 ううむ。 それにしても、何という危険なゲームでしょう、“鬼ごっこ・ちゅうちゅうたこかいな”。 こんな危険なゲームに興じていた汐見さんと そのお友だちは、あまりにも大物すぎ。 私には、到底 太刀打ちできません。 懸命に頑張って、小心な小市民の私に書くことができたのは、このレベルでした。 そんなこんなで、あっちもこっちも至らない点だらけで、心苦しいこと この上ないのですが、未熟者なりに努力はしたということで、ご容赦いただけましたら幸いです。 汐見さん、リクエスト、どうもありがとうございました! 今作の氷河の卑怯は すべて愛ゆえのことということで、どうぞ お許しくださいませ。 |