その時が本当に永遠に続いたら、人は狂ってしまうだろう。
そうなってしまわないために、それは必ず終わるようにできている。
瞬は随分長い間 氷河に揺さぶられ続けていたのだが、それでもやはり終わりの時はきた。
自分の身体の奥にそれを感じた瞬間には、だが、瞬はまだ氷河との交合に酔っていた。
身体の奥は疼き続け、氷河と離れてしまいたくないと、瞬の全身が瞬に訴えてくる。
心臓は苦しいほどに早鐘を打ち、自分の意思で手足を動かせる状態でもなかったが、それでも瞬は、それを し終えた氷河がいつものように自分から離れ その隣りに仰向けに倒れ込むことをさせないために、必死に彼の背に腕を絡みつけていった。

「ごめんなさい……ごめんなさい、氷河……」
これは卑怯で浅ましいことだとわかっている。
だが、そうする自分を止められない。
氷河と離れてしまいたくなかった。
離れたら、もう二度と氷河と触れ合うことはできない――その思いが、瞬を氷河にしがみつかせていた。

氷河の手が、瞬の頬に伸ばされる。
その指が瞬の頬の涙を拭い、それから彼は瞬に告げた。
「謝るな、俺だ」
まぎれもなく氷河の声。
氷河の口調、そして、氷河の言葉で。
「その気になったら、俺がおまえに負けるわけがないだろう。俺の方がずっと、おまえを欲しがっているのに」

あろうことか氷河は、愉快そうにそんな軽口を叩くことさえして、瞬に笑いかけてきた。





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