生きていてほしい――。
瞬は、仲間たちに、人間というものたちに生き続けていてほしかった。
神の過ちを正せるものが存在するとしたら、それは人間だけである。
仲間たちはきっと――生きてさえいれば――生きていてくれさえすれば、神の過ちを正してくれる。
アベルを倒すことではなく、神から地上を滅ぼす理由を奪うことで――美しく幸福な世界を作ることで――アベルの過ちを正してくれる。
正してほしい。
そう願うことが、願えることが、今の瞬が持つただ一つの力だった。
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