沈まぬ太陽と謳われている太陽神の館にも、夜はやってくるものらしい。 沈んでも、必ず翌日にはその姿を現すからこそ、太陽は復活の象徴なのであって、もし本当に太陽が沈まなかったなら、地上はすぐに痛々しく焼けただれた世界に成り果てるに違いない。 今の瞬がそうだった。 視界ははっきりしている。 まもなく迎える新しい朝の光のかけらを、瞬の目は捉えることができていた。 だが、生きているのは、目だけだった。 身体も思考も、瞬の制御下にはない。 誰に何を束縛されているわけでも、制限されているわけでもないというのに、瞬は自身の身体を動かすことができず、順序だった思考を形作ることもできずにいた。 「おい、生きてるか?」 その声が自分に向けられたものだということに、瞬はしばらく気付かずにいた。 誰の声だろう――? 瞬は、ぼんやりとした記憶の糸を辿ってみた。 その記憶も、今はひどく頼りないものだったが。 |