身体と身体の交わりに、瞬は最も縁遠いところにいる――ずっと、氷河はそう思っていた。

氷河にとって、瞬は、誰にでも優しく、誰のためにでも平気で命を投げ出してしまいそうな、そんな人間離れした存在だった。


だから、何も言えずにいたのである。
どんなに抱きしめたいと思っても、ずっと一人で耐えてきたのだ。


聖域で瞬だけが戻ってきていないことに気付いた時、瞬の姿を失ってしまっている間、氷河は自分が生きているような気がしていなかった。

太陽神が世界の破壊を断念したらしいことよりも、世界の存続よりも、瞬の消息の方がはるかに気掛かりだった。

生きていてくれと、死んでいるはずがないと、祈るような気持ちで過ごしてきた長い時間の果てに、こんな信じ難い光景を見せつけられることになろうとは――。

氷河は、白くなるほどに強く、両の拳を握りしめた。








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