そうして、俺はそうしたんだ。 いくら俺だけのものにしたいからと言って、瞬を食っちまうわけにはいかないから、俺のマンションの部屋から出るなと、瞬に命じた。 別にロープで繋いでおかなくても、瞬は俺の命令には服従したから、事実上の軟禁状態。 セックスする時だけ、瞬の制服のリボンタイで、瞬の手と俺の手を繋いだ。 ――そんな生活が長く続くわけがない。 3日目に、瞬の兄が乗り込んできて、俺の手から瞬を奪っていった。 初めて会うのに、殺してやりたい相手。 もっとも、瞬の兄も、俺に対して、同じことを考えていただろうが。 最初は、瞬を渡すつもりはなかった。 だが――。 おそらく、紫龍か星矢経由でここを突きとめたらしい瞬の兄は、あいつらから俺の家庭の事情とやらを聞かされてきたらしく―― 「瞬の同情を買って、瞬を束縛しようとするとは、見下げた下種野郎だな」 瞬の兄の言葉が、瞬を抱いていた俺の腕から力を奪っていった。 同情? 俺は、そんなことは考えたことがなかった。 同情なんかで 男に身体を開く男がどこにいる? しかも、まっさらの、男どころか、女も自慰も知らないような身体を。 まだ、遊びと言われた方が、よほど理解に苦しまない。 俺は――そんなにすがるような目を、飢えた目を、哀れな目を、瞬に見せたのだったろうか。 瞬に、俺を愛せるかと聞いた時。 そんなはずはない。 あの時はまだ、俺は一人でも立っていられたんだ。 ――だが、やはりそうだったのかもしれない。 そして、瞬なら、同情で自分を人に与えることもできてしまうのかもしれない。 誰にでも優しい“いい子”の瞬は、哀れで惨めな男に特に優しくせずにはいられなかったのかもしれなかった。 いつも求めるのは俺だけ。 瞬は決して拒まない。 そして、求めてもこない。 俺と瞬は、その繰り返しだった。 「帰れ……!」 俺は、瞬に、呻くようにそう告げていた。 |