瞬が、金色の髪の男に組み敷かれていた。

無理矢理従わされているのか、その苦しげな喘ぎは、すすり泣いているようにか細い。

なぜか、そこは紫龍の部屋で、氷河は、紫龍の寝台で、その陵辱に及んでいる。

部屋の主の姿はどこにも見えなかった。
意識だけが視線を兼ねて、その幻のように悲惨な光景を見詰めていた。


弱った小鳥の悲鳴のような音が、瞬の唇から漏れている。
瞬が何を言ってるのか、最初のうちは、紫龍には聞き取れなかった。

見慣れた部屋で、時間が、捻じ曲がったように行き来している。
音のない幻影のように、氷河と瞬の身体は絡み合っている。

ふいに、瞬の唇が、彼を組み敷いている男のものではない名を呼んだ――。






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