──気がつくと、瞬を組み敷いている男は、瞬に名前を呼ばれた男に変わっていて、瞬の表情からは悲痛の色が消えていた。

まるで、それ自体が意思を持って絡みついているかのように、瞬の白い胸や腕や肩に、黒い髪が絡みついている。
瞬の息は荒く、胸は辛そうに上下していた。

それでも、瞬は、健気にその腕を伸ばして、更なる力と熱を求めてくるのだ。


瞬の腕の最も柔らかい部分に、ぼんやりと赤い痣が見える。
瞬を組み敷いている男は、血の色の印のある腕を、ひどく乱暴に、捩じあげるように掴みあげた。

痛いはずなのに、瞬の唇が『ごめんなさい』と告げるために動く。


その唇を塞いで、黒髪の男は瞬の片脚を抱え上げ、身体を押し進めていった。

瞬が身体をのけぞらせる。
黒い髪の檻に閉じ込められて。


瞬の中に精を放ち、そして、紫龍は覚醒した。






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