瞬を交えずに氷河と話を所望するという王からの使者が、公爵邸にやってきたのは、氷河と瞬が共に王子様への道を歩き始めてから、半月も経った頃だった。
王の使者の持ってきた命令が瞬だけを呼びつけるものだったなら、氷河は決して諾とは答えなかっただろう。
だが、王の召喚が自分ひとりへのものだったために、氷河はその招きに応じたのである。
「大丈夫。僕、ひとりでどこかに行ったりしないから」
瞬は、“いい子”でいることを氷河に約束して、心配する氷河を笑顔で送り出した。
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