「ご存じでしょう。私は瞬様のためでしたら、どのようなことでもいたします」 身体を重ね、抱きしめて、瞬の唇に唇でそっと触れる。 瞬の唇はやわらかな花びらのような感触で、氷河を迎え入れた。 唇を重ねることだけが口付けではないのだということを、瞬の唇に教える。 そして、唇だけが唇を受けとめる場所ではないということも。 「あ……」 思ってもいなかった場所に氷河の唇が触れると、瞬は小さな声をあげる。 瞬が声を洩らすたびに唇に戻り、それがおかしな行為ではないのだと諭すように、氷河はキスを繰り返した。 「あ……ふ……」 それは、瞬が思い描いていたような交歓だったらしい。 氷河に唇をついばまれ、瞬は幼い子供が微笑むような甘い吐息を洩らした。 |