「瞬……! 瞬……!」
(いくら久し振りだったからって、これはイキすぎだぞ)

「あ……」

自分の意識を現実に引き戻したものが、氷河の声だったのか思念だったのかは、瞬にもわからなかった。

「瞬、大丈夫か。ひどくしすぎたのか、俺は」
(いくら瞬が感じやすいといっても――いや、瞬をこんなふうに仕込んだのは俺だが、それにしても――)

自分の中にあった欲を吐き出した後のせいなのか、氷河は、やっとそちら方面のことを考えるのをやめてくれたようだった。

(瞬は、冥界でのことを、まだ気にしてるのか? だから、一時的にでも忘れるために、俺に抱かれたのかもしれない。自虐――いや、俺を使っての自傷か……。瞬は、自分を責める奴だから。それで、気が高ぶっていて、だから、いつもより――)

だが、瞬は、仲間を慮るそんな言葉より、むしろ、猥雑な思考を聞かされている方が、ずっと気が楽だった。


「違うよっ !! 買いかぶらないでっ! 僕、そんな良心的な人間じゃないんだから!」
「瞬?」

「僕、そんなことさえ――自分の犯した罪のことさえ、考えられなくなっちゃったんだよ……!」

善良でない自分を、善良な人間だと思われることほど苦しいことはない。
今度は、快感を耐えるためにではなく、救いを求めるために、瞬は、氷河にしがみついていった。






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