その夜は吹雪になった。

「吹雪くのは、これが今年最後だろう。明日には晴れる」
氷河は暗に、飛行機が飛ぶから帰れと言っているのだと察して、瞬は唇を噛んだ。

いったい、何が、氷河をこんな不毛の地に引きとめているのかが、瞬にはわからなかった。
そこは、瞬にとっては、正しく“不毛の”地だった。
そこには、氷河の悲しい思い出しか存在しないのだ――。






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