昼間は、氷河は本当にただの小さな犬だった。 瞬の行くところには、どこまででもついてきて、じゃれ、甘える。 「キミは氷河だよね? 氷河。だから、もう、氷河は遠いところで寂しい思いなんかしていないんだ。僕たちはこうして一緒にいられて、だから、僕も氷河も寂しくない」 腕に抱きしめた小犬に、瞬は囁く。 「なのに、どうして、キミはいつも独りになろうとしてたの。悪い子だね。キミの飼い主は僕なのに」 諭された“氷河”が、瞬の腕の中で、考え深げな瞳をして瞬を見上げる。 「氷河……違うの?」 “氷河”の仕草に、瞬は微かな不安を覚えた。 だが、氷河はすぐに、瞬に鼻面を押しつけ、瞬の頬をぺろりと舐めて、その不安を拭い去る。 「ふふ……」 瞬は、そんなふうに氷河に甘えられることで、一時、不安を忘れることができるのだった。 |