それは、客観的に見れば、確かに、良い写真・良いポスターなのだろう。 そこに写っているのが紫龍と瞬でさえなかったら――否、一億歩譲って瞬が服を着けていてくれさえしたら、氷河とて、これほど取り乱したりはしなかったのである。紫龍がいつでもどこでも脱ぎたがる奇癖の持ち主だということは、今更説明されるまでもなく氷河も承知していたし、紫龍が脱いでいること自体は、氷河的には全く問題はなかった。 しかし、何故、瞬が! 瞬までが! 瞬までが、紫龍の奇癖に付き合って服を脱ぎ、あまつさえ、その奇癖男に抱きしめられていなければならないのだ! 瞬の服を脱がせるのに、毎晩てこずっている氷河としては、どーしても、この現実が、その写真が、納得できなかったのである。 それだけならまだしも。 「でね、こっちがポスターなんだ。すごいでしょ。綺麗でしょ。これ、日本全国の駅とかお店とかに貼り出すかもしれないんだって。電車の吊り広告にも使われるかもしれないんだって♪」 などと、にこにこ顔の瞬に言われた日には、氷河も世を儚みたくなるというものだった。 |