ある夜のことでした。

元気のない15号を心配したたれたれ瞬ちゃんが、
「今夜は僕たちと一緒のベッドで寝ようねv」
と、15号をたれたれさん宅のベッドに入れてくれたのは。

15号は、運んでもらったたれたれさん宅の大きなベッドの、たれたれ瞬ちゃんの肩のあたりで小さく丸くなって目をつぶったのです。

誰かと触れ合って眠るなんて、とっても久しぶり。
雪のお城にいた頃には、氷河の枕をベッドにして、いつも仲間たちと15人そろって手を繋いで眠っていたのですが。


ところが。
そこにやってきたのはたれたれ氷河さん。

いつもは15号にもとても優しくしてくれるたれたれ氷河さんが、今夜はなんだかちょっと危険な目。
しかも、その目には、15号の姿はまるで映っていないようでした。


そして。

びっくりして目が覚めてしまった15号の前で、展開され始めた光景の激しいこと!
それはもう、シベリアの雪嵐なんか目でもなければ屁でもありません。

いくら『えっち好き』担当の15号とはいえ、なにしろそれはまだ未経験の領域。
あまりに刺激が強すぎました。


(……ぼ…僕はここにもいちゃいけないんだ。な…なんか、そんな気がする……)

たれたれ氷河さんとたれたれ瞬ちゃんの間には、蟻一匹入る隙間はありません。
これ以上二人の側にいたら、いつ馬(?)が現れて、15号を蹴飛ばし始めるかわかったものではありません。
そんな無粋なことをしてはいけないのだということくらいは、15号にだってわかったのです。

本当はお世話になったお礼に金貨の一枚も置いていきたかったのですが、あいにく15号はお財布を持っていませんでした。
なので、お礼に仲間たちとお揃いのふさふさのついた帽子を、まだまだ激しい二人の枕元に置いて、15号はたれたれ氷河さんとたれたれ瞬ちゃんのベッドを――もとい、おうちを後にしたのです。


そうして、15号のひとりぽっちの旅は再び始まりました。
始まるはずだったのですが……。







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