![]() さて、それから、みんなはどうしたでしょう。 たれたれ氷河さんとたれたれ瞬ちゃんにお世話になったお礼を言って、15号は仲間たちと一緒に、懐かしい雪のお城に帰りました。 もちろん、氷河と15人の一輝も一緒に。 15の心はひとつになって、完璧普通サイズの瞬にもなれるようになりました。 けれど。 『えっち好き』担当の15号は、たれたれさん宅で見てしまった激しい光景が心から消えなくて、氷河との合体をちょっとまだ恐がっているのです。 ですから、普通サイズの瞬でいる時に氷河が側にやってくると、瞬はびゅーっっ !!!! と、疾風のように氷河の側から逃げていってしまいます。 一人その場に残された氷河は、そして、長い溜め息をつくことになるのでした。 いったいいつになったら、氷河は完璧普通サイズの瞬と愛を確かめ合うことができるようになるのでしょう。 完璧普通サイズの瞬と合体できない鬱憤を、氷河は一輝たちとの闘いで紛らしているようで、最近の氷河は小人一輝たちと雪のお城の裏庭で決闘していることが多くなりました。そして、その闘いは日を追うごとに熾烈さを増しています。 一輝たちとの闘いに飽きると、氷河はたれたれ氷河さんを羨んで、オーロラに向かって、 「同じ氷河なのに、不公平だーっっ !! 」 と叫んだりもします。 そうすると、オーロラの向こうから、 「 だー だー だー だー 」 と、こだまが返ってくるのです。 途端に、普通サイズの瞬は合体を解き、15人の小人になって、雪のお城の中庭で、こだまに合わせてダンスを踊り始めます。 なにしろ小人の瞬たちはみんなお遊戯が大好きなのです。 上手に踊って、氷河に褒めてもらいたいんです。 そして、お遊戯が終わると、瞬たちは、氷河の前でまた騒ぎ始めるのでした。 瞬1号 「氷河、見てー。僕たち上手でしょー !? 」 瞬2号 「氷河に見せるために、一生懸命練習したのー!」 瞬3号 「僕なんか、ご飯も食べないで練習したんだよー」 瞬4号 「僕だって食べてないもーん」 瞬5号 「みんな、ご飯食べなかったのー」 瞬6号 「ケーキ食べて練習したのー」 瞬7号 「氷河、誰が一番上手だったー?」 瞬8号 「僕だもーん」 瞬9号 「違うよ、僕だよぉー」 瞬10号「いちばん可愛いのは僕だよねー」 瞬11号「嘘だーい。それは僕だもーん」 瞬12号「違うよー、いちばんは僕だもーん」 瞬13号「僕の方が上手で可愛いもーん」 瞬14号「そんなの僕に決まってるよぉ !! 」 瞬15号「僕、僕、僕、僕、ぜったい、僕っっ !! 」 ――と。 そして、氷河は、 「……おまえら、いったい、いつになったら合体できるようになってくれるんだ……」 とぼやきながら、15人を仲良くさせるために、またまたひーこら苦労することになるのでした。 本当に、いったいいつになったら氷河は普通サイズの瞬と愛を確かめ合うことができるようになるのでしょう。 元気いっぱい自己主張をする15人の可愛らしい瞬たちを見詰めながら、氷河は今日も、遠いシベリアの北の果てにある雪のお城で、長い長い溜め息をついています。 The happy end (?)
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