チューリップガーデンのお話


ある所にそれはそれは美しい少女がいました。
とても可憐で純真無垢な優しい少女。
その少女が放って置かれる筈もなくその日は当然の如くやってきました。

王子様からの求婚。
何と素敵な事なのでしょう。
しかしその少女の美しさに惹かれたのはひとりの王子様だけではなかったのです 。

隣りの国の王子様。
裏の国の王子様。
向かいの国の王子様。


なんと少女は三人の王子様から同時に求婚されてしまったのです。
三人の王子様はなんとしても少女をお后に迎えたいとそれぞれ素敵な贈り物を持 ってきました。

歴史の在る隣りの国の王子様は立派な王冠を。
武術に長けた裏の国の王子様は美しい剣を。
裕福な向かいの国の王子様は輝く金塊を。


「どうぞ私のお后になって下さい。」
三人は少女の答えを待ちました。

さぁ、困ってしまったのは少女です。
三人ともとても素敵な王子様。
三人とも少女を愛してくれている王子様。
誰か二人を切り捨てて誰か一人を選ぶ事なんて優しい少女には出来ませんでした 。
二人の王子様を悲しませる事なんて少女には出来ませんでした。

悩んだ少女は花の女神フローラに相談に行きました。
するとフローラは少女を花に変えてしまいました。

王冠を花に。
剣を葉に。
金塊を球根に。
そして蕾はまだ開かぬ貞淑な少女の姿に。