やがて、二人は、神の庭に辿り着きました。
ヒョウガはまだ、意を決することができずにいました。


ヒョウガは、水晶の中のシュンを見ました。
シュンの眼差しは、1年前と同じに、切なげにヒョウガの上に注がれていました。


花の権利を、この父親に譲ればいいのかもしれません。
その時のために、神はヒョウガとシュンのために大団円を用意してくれているのかもしれません。


それでも。

ヒョウガは意を決しました。
心を決めて、シュンを見詰めました。

(シュン、俺を許してくれ。俺は、おまえの前で、嘘はつけない。俺は、おまえのためだけに、この1年間を過ごしてきた。神のためじゃない。善を為すこと自体が目的だったのでもない)

ヒョウガは、水晶の中のシュンをじっと見詰めたまま、哀れな父親に言いました。
「俺は──俺は、見知らぬ旅人のために水晶の花を咲かせたんじゃない。神のために咲かせたんでもない。シュンのため……シュンのためだ……!」





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