その瞬間、神の庭の中央に咲いていたヒョウガの花が砕け散りました。

白い雪の舞う水晶の花の庭に、神の声が響いてきます。

「愚かな。おまえは、自分の幸福だけが、自分の欲望を満たすことだけが大事なのか」

神の声に、ヒョウガは何も答えませんでした。
それが――事実だったからです。
シュンの切なそうな眼差しが、ヒョウガの胸を刺しました。

結局、ヒョウガは、シュンを救うことができなかったのです。

信じていると言われていたのに。
シュンに信じてもらっていたのに。


いつの間にか、神の庭から、小さな子供を抱いた父親の姿は消えていました。
ヒョウガにはもう、神の声も聞こえませんでした。


自分を信じてくれていた人を救うことができなかった――。
その辛い事実が、ヒョウガの心と命とを凍りつかせてしまったのでした。





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