その日、氷河は、西の大陸で評判をとっている道化師を招いて、瞬のための宴を開いた。
しかし、彼は、今度も望んでいた結果を手に入れることはできなかった。


「どうしたら、おまえは笑ってくれるんだろうな」
瞬を抱きしめながら、大帝国の王は、瞬に寂しげに尋ねてくる。

氷河が自分を大事にしてくれていることは、瞬にもわかっていた。
どうやら彼が本気で、何の力も持たない敵国の少年を愛してしまったらしいことにも気付いていた。

しかも、帝国の王は美しかった。


瞬は、許せるものなら、氷河を許したかったのである。
愛せるものなら、愛したいとさえ思っていた。

そして、笑えるものなら、氷河に微笑みかけてやりたかった。





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