ついに二人が太陽神の館に辿り着く日がやってきました。

それは物寂しい夕暮れで、太陽神ヘリオスは一日の仕事を終え、世界の東の果ての館に帰還したばかりでした。
夕闇の中に建つ壮麗な太陽神殿は、シュンの目には、どこか心寂しげなものに映ったのです。


太陽神は若い青年の姿をしていましたが、その瞳は長い時間を生きてきた者だけが持つ深みをたたえていました。

「では、明日の夜明けにでも、治してろう」
彼は、必死の思いで神の館を訪ねてきた二人の人間をいたわり、その願いを叶えることを約束してくれました。


ヒョウガは神に礼を告げましたが、そのヒョウガの横で、シュンは黙りこくっていました。
明日になれば、シュンは、ヒョウガの側にいる理由と権利を失うことになるのです。






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