俺が目を覚ました時、俺の視界に飛び込んできたのは、城戸邸の見慣れた天井だった。
部屋には、夏の朝独特の、爽やかさの中に熱を含んだ空気が漂っている。

その生暖かい空気の中で、俺はぼんやりと、自分の記憶の糸を辿り始めた。
瞬を押し倒したところまでは憶えている。
てことは、ヤっちまったのか、俺は?

俺は、ベッドの上にいた。
隣りに瞬はいない。
頭がずきずきと痛む。

のろのろとベッドから這い出そうとした俺は、その時になって初めて、痛むのは頭だけじゃないことと、そこが瞬の部屋ではなく俺自身の部屋だということに気付いた。






【next】