そうして翌日。
神殿の庭から4度目に放たれたシェドウの聖鳥は、迷いもせずに、シュンが移された建物の屋根へと降り立ったのである。


「やはり、そういうことのようですな」
神官長は、むしろこの結末を歓迎しているようだった。
神殿の聖性を疑われるより、シェドウの聖鳥に神意が宿っていないと疑われるより、神が強い意思でその少年を望んでいるのだという結末に落ち着いた方が、神殿の威儀が保たれる。

選ばれた配偶者が少年か少女かということなど、彼にはどうでもいいことだった。


しかし、神の配偶者に選ばれてしまった者は――まして、シュンは少女ではないのだ――そう割り切ってしまうことはできない。
神殿の祭儀場にずらりと並ぶ高位聖職者たちと王の前に連れてこられたシュンは、事の次第が飲み込めず、ただ彼等の前で呆然とするばかりだった。






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