緑の樹木の陰に、一人の少年が立っていた。
ほとんど全裸だった。

不思議なほど日焼けしていない白い肌は、この付近の先住民のものではない。
上半身が露わだったから疑いようもないが、服を身に着けていたなら、少女と見間違えてしまいそうなほど愛くるしい顔立ちの少年だった。
16歳という年齢にしては幼い表情をしていたが、彼が、親父の親友の息子に間違いなさそうである。

小さな島だから探すのは簡単だろうと思ってはいたが、まさか捜索を始める前に、目的のものが向こうから出向いてきてくれるとは、俺は考えてもいなかった。
が、俺は、すぐに、彼のお出ましの訳を理解した。
彼は、俺のクルーザーの船影を認めて、あるいは、そのエンジン音を聞きつけて、海岸まで下りてきたに違いない。

それが可能なほどに、鳥の声しかない島だった。






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