瞬にわからないもの――が、星矢や紫龍にわかるはずもない。 彼等は、氷河の持つ特殊能力を備えてはいないのだ。 「おまえの目に、瞬と瞬以外の人間がどう映ってるのか、見てみたいもんだな」 紫龍にそう言われた氷河が、仲間たちには目もくれず、瞬の腰に手をまわし、 「まあ、ラファエロの聖母と、ムンクの叫んでる男が一つの画面に見えていると思っていれば、さほどの違いはない」 ――と、答える。 氷河の目に映る自分の姿を想像して、星矢と紫龍は少々嫌な気分になったのだが、彼等はすぐに、氷河の目に自分たちが美形に見えても仕方がない――と思い直した。 そして、彼等は、同じ時代に生まれ、熱き血潮を分け合った仲間たちがムンクなら、ぽっと出の神様など、氷河の目にはタコか何かにしか見えないのだろうと、納得した。 いくら氷河でも、タコに敬意は抱けまい。 アポロンに対する氷河の態度は、氷河にしてみれば、至極当然で自然なことなのだ。 |
■ ご参考までに ■ 氷河の目に見えている世界 : こんなふうだと思われます。 |