夜が来ると、氷河は目覚める。
眠っている瞬を見ているのが苦しくなり、時折、ひとりだけの空間の外に出てみる。

夜の庭と、瞬く星と、照る月と、涼やかな風。
それらのものは、とても美しい。
この場所に瞬と佇んでみたいと思う。
そうすることができた時、人間の寂しい心はどれほど満ち足りるものかと、氷河は思うのだ。

だが、そんなものよりも瞬の方が気にかかる。
星より瞬を見ていたい。

だから氷河は、僅かな時間それらのものを眺めると、急いで瞬の許に戻るのだった。
瞬から離れている間に、瞬に何かが起こってはいないかと、期待し、また、不安に急きたてられながら。

瞬はいつも何も変わっていない。
数刻前と同じように、瞬は固く瞼を伏せている。

見詰めているうちに夜が更けて、氷河は、瞬の横に横たわり、目を閉じた。






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