それから俺がしたことは、要するに秋元家の馬鹿殿様がしたことと同じだった。

幽霊を、生きている人間の住む家の中に運び、生きている人間だけに必要な眠りを貪るためのベッドに横たえさせる。

自分のしていることが常軌を逸した行為だという自覚はあった。
秋元家の馬鹿殿のように、思いを遂げる前に死なれてしまってはたまらないと(相手は幽霊なのに)、最初のうちは、瞬の口にハンカチを押し込んで、俺は彼を犯し続けた。

俺の身体に押しつぶされそうになりながら、俺の下で、瞬が俺の名を呼ぶ。
名乗った覚えもないのに、瞬は俺の名を知っていた。
幽霊なのだから、それも当然のことと、俺は気にもとめなかった。

瞬の身体の中は、生きている人間のそれよりも熱かった。
瞬は、生きている人間のように喘ぎ、泣き、俺の愛撫で精を洩らしさえした。
俺に刺し貫かれるたびに瞬があげる悲鳴は、俺をますます高ぶらせた。

瞬が恋い慕っていたという図書之助は、もしかしたら、主家の若君の美しさに怖れをなして、その肌に触れてもいなかったのではないだろうか。
瞬の肌は、処女雪のように傷付きやすく、そして繊細だった。






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