瞬が決めた瞬自身の“人生”の報告に、その場に居合わせた全員が目を剥く。 「こ……恋?」 「──強くなりたいなんて口ばっかりの僕が、それでも聖闘士でいられたのは、多分、正義だの平和だののお題目のせいじゃなく、みんなが側にいてくれたからだったと思う。でも、だから──側にいすぎたから、いつも側にいるのが当たり前だったから、僕はこれまで気付かずにいた。僕は、その人が好きで、大好きで、離れたくない。離れるのが不安で、離れているのがとても恐い。ずっと一緒にいたい」 自分自身の気持ちを確かめるように、ゆっくりとした口調で、瞬は噛みしめるように言った。 そして、顔を上げる。 「もしかしたら、僕がその人を好きでいることは、社会的には認められないことかもしれなくて、非難されることかもしれなくて──でも、僕はその人が好きだから。僕は、その人を幸せにしてあげたい。そして、できるなら、僕自身も幸せになりたい。だから、それを僕の人生の目標にすることにしました!」 ここまできっぱり断言されてしまうと、アテナと言えども、もはや口を挟む隙はない。 多少の戸惑いをその声音に残しつつも、沙織は、こういう展開の中で当然発せられるべき質問を口にした。 すなわち、 「す……素晴らしい人生の目標ね。で、瞬に愛されている、その幸運な人は誰なの」 ──である。 |