「氷河、ごめんなさい。変な話 して。怒った?」 「おまえの──」 「え?」 「おまえのその話が映画の話じゃなかったとして──それが、おまえと俺の話だったとしてだ。おまえがそれを思い出すのは、死の間際だということは、おまえはもうすぐ死ぬということか? そんなことは許さないぞ」 「あ、それで、そんな怒ったみたいな顔してるの。違うよ」 「どう違う」 「僕が突然、今、思い出したのは──多分、ついさっき、僕が死にかけたからだよ」 「死にかけた?」 「死にそうなくらい気持ちよかったんだ」 「──褒めてるのか」 「好きに解釈して」 「そうする」 「やだ、その得意そうな顔、どうにかしてよ」 「自分では抑えられない」 「もう……」 |