「人間には誰にでも平等に、幸せになるための機会が与えられてしかるべきだと思うだろう?」 「それはもちろんそうだと思うけど、でも、そのことと、僕なんかが、DBとのコンベンション・パーティに出席することと、どう関係があるの」 「どう関係があるの、と言われても……。俺は、 「あれ……って?」 「あれはあれだ。おまえは多分、この世界を変える救世主になるぞ。だいたい、今の地球は、戦争がないのは結構なことだが、退屈すぎて面白みに欠ける。ヒトは娯楽を求めているんだ。あれは、それがわかっていない」 「はあ……?」 二人乗りのリニアカーが、地球の首都・サンクチュアリに通じるトンネルに入る。 短いトンネルを出ると、それまで窓の外に広がっていたのどかな田園風景は跡形もなく消え去り、代わりに出現したのは、そのほとんどが500メートル以上の高さを持つ高層ビルでできた巨大な鋼鉄の都市だった。 「わあ、ほんとに高いビルばっかり!」 瞬が、その街の威容に喚声をあげる。 首都に入る許可をもらったのは、瞬はこれが初めてだった。 「ひとつだけ、特に高いビルがあるだろう。その最上階に 紫龍の説明は、初めて見る首都の様子に歓喜している瞬の耳には届いていないようだった。 |