(あれ……? 僕、どうして……)
瞬は、目を閉じて眠ろうとしていた自分が泣いていることに気付き、慌てて頬を濡らしている涙を拭った。

それは、今となっては昔話である。
瞬は生きて故国に帰ってきたし、兄や仲間たちも無事だった。
今の瞬は、仲間たちに何かが起きたら、その事実をすぐに知ることができるし、彼等に手を差し延べてやることもできる。

今の瞬には不安がるようなことは何もないし、泣く必要もない。
まして今夜は。
明日には素晴らしいことがあるに違いないのに。

自分の涙に驚きながら、瞬は寝返りを打った。
だが、瞬の涙は止まらず、眠りの精も瞬の許を訪れてはくれなかった。






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