氷河が、瞬のその言葉を聞いて、瞳を見開く。
瞬の変化の原因は、それしか思い当たることはなかったし、それが決して自惚れではないことは瞬の小宇宙から窺い知れていたのだが、いざ本人に面と向かって言われると、それは実に感動的な言葉だった。
自分の一言にそれほどの力があるなどということに、氷河は、これまでただの一度も考え及んだことがなかった。

「あ……あの、わかってるんだよ。昨日と今日とで、世界は何も変わってないんだってことくらい。僕が浮かれてることの責任を氷河に押しつけるつもりもないんだ。ただ──」
氷河の瞳に驚きの色が浮かんだのに気付いた瞬が、慌てて言葉を継ぐ。
「ただ、今まで言葉でしか知らなかった夢とか希望とか、そんなふうなものが、はっきりした形を持って、目の前に現れたみたいな感じだったの。とにかく、嬉しくて、楽しくて、嬉しくて──」

「…………」
実を言うと、瞬にそう言われている氷河の方がはるかに、今は、嬉しくて楽しくて嬉しい状態だった。
好意に好意を返してもらえることほど、人にとって幸せなことはない。

「今日からはきっと、いいことしか起こらないさ。何か大変なことが起きたって、俺が手を貸してやる」
嬉しさと楽しさを極めた瞬の言葉と態度を目の当たりにして悦に入り、満足感と幸福感を二つながらに手にしながら、氷河は瞬にそう告げた。

自分の有頂天を氷河が不快に感じていないらしいことを知らされた瞬の表情が、ぱっと明るくなる。
「うん! 氷河も何か困ったことがあったら、僕に言ってね!」
瞬は、心底から嬉しそうに、そして楽しそうに頷いて、そう言った。






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